許認可が必要な事業で、役員や管理者がやめても売却できますか?
M&Aは会社にとって重大なイベントです。

株主が変わるばかりか、それに伴って役員が変更されたり、場合によっては事業領域も大きく変わることになり、非常に多くの手続が発生し、それに伴って様々な解決すべき問題が発生します。
その中でも重要なものとしては、その会社が何らかの許認可が必要な事業を行っている場合です。日本においては、実に多様な規制があり、また実際には許認可業が不要な事業の方が少ないくらいかもしれません。
M&A後において、継続的に営業を行うためには、この許認可に関わる手続も同時進行で実行していく必要があります。M&Aをしてみたら、大事な許認可が使えない、最悪取り消されたということになってしまえば、せっかく高額な対価を払って手に入れた事業が、全く収益を生み出さないただのゴミになってしまうことでしょう。
したがって、M&Aの実行にあたっては、この許認可について深く理解しておく必要があるといえます。
M&Aと許認可
一般的に、合併の手続きによりM&Aを実行する場合、その許認可に関わる免許や許可を得ている事業会社が消滅会社となってしまうケースや、許認可を持っている法人が許認可の対象となっている事業を事業譲渡する場合、存続会社や事業会社を受ける側は許認可は引き継げないと考えた方が良いでしょう。
ほとんどの場合、存続会社、事業を譲り受ける会社がすでに許認可を持っている必要があるか、あるいは持っていない場合は許認可を取得する必要があります。特に、持っていなかった場合、じゃあ新しく取得すればよい、となりますが、取得までには一般的に時間がかかりますし、取得ができるまでは営業自体ができないこととなってしまい、収益獲得の機会を著しく逸失することになります。
合併と許認可
原則として、消滅会社の保有している許認可は継承できませんので、存続会社が許認可を取得しておく必要があります。
株式譲渡と許認可
合併と異なり、株式の譲渡によるM&Aの場合は、会社の株主が変わるだけですので、役員や社員などの人員、および会社組織には影響を及ぼしませんので、許認可が必要ないことがほとんどです。
したがって、株式譲渡の場合は、許認可手続は不要です。もちろん、商号変更や役員変更、あるいは本店移転等が発生する場合は、届出手続きが必要になることでしょう。
しかしながら、一部の事業、例えば金融業など規制の厳しい一部の業種においては、会社の株主が変更される場合に、届出が必要だったりしますので、事前に対象会社の許認可の存続要件については把握しておく必要があります。また、場合によっては一定の業種との兼業規制や、特定都道府県だけに有効な許認可もあるため、一概に株式譲渡だからと言って許認可は継続するものだ、と判断するのは危険であると言えます。
存続会社が届出を行えば、許認可を承継できる業種
理容・美容業、飲食店業 等
事前の手続で許認可を引き継げる例
一般貨物自動車運送事業、利用運送事業、旅館業 等
事業譲渡と許認可
合併の場合と同じであり、事業の譲受を受ける会社は許認可を引き継ぐことができませんので、事業を譲り受けた側の会社は許認可を取得する必要があります。
いずれにしても、許認可の承継の可否あるいは承継のための手続きについては、業界ごとの基本的な業法を熟知したうえで、所轄官庁と事前に協議を行い、M&Aの実行後においてスムーズに許認可を維持あるいは取得して、事業の障害にならないよう、十分に注意することが必要です。また、許認可にかかる手続きには、免許、許可、認可、届出など非常に複雑な手続きが存在し、業法により取扱いが異なるばかりか所轄官庁の方針などが急に変わることもあり、専門家に調査を依頼することが必須であるといえます。
当社は、豊富なM&Aの経験を有しているため、お客様の事業にかかる許認可の法的根拠や手続きなどについてもアドバイスできます。許認可が必要な業界においてM&Aを実行しようと考えている経営者様で、詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。
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